すべてのことに「最高評価」ルール。 | デザインとブランディングを相談できる。株式会社JIN | 藤沢

2022.08.10

すべてのことに「最高評価」ルール。

斉藤高広 / director

斉藤高広 / director

|すべてのことに「最高評価」ルール。

言葉は人を元気づけたり、傷つけたりする。僕たちは小さいころから、事実と異なったことは間違いで、ちゃんと正しいことを言うように、書くように教育されてきた。だけど最近、「事実」とか「正しさ」だけがすべてじゃないよねって思ってる。

たとえばアプリのレビュー。僕は週の何日かはホテルにいるんだけど、チェックアウトするたびに予約アプリからレビューを求められる。ちょっとめんどくさいなぁと思うこともあるんだけど、日課として、毎回書き込みます。そこにはニコちゃんマークが5つ。項目ごとに並んでいて、上から秒速で満点、満点、満点とすべて「最高評価」にチェックを入れ、最後のフリーワードに「誉め言葉」をしっかりと書き込みます。そこが、どんなホテルであってもね。

僕のステイしているホテルは、だいたいビジネスホテルクラスなので施設が古かったり、フロントの対応がわるかったりすることも、ちょいちょいあるんだけど、古い建物なら「ノスタルジーな施設にうっとりしました」とか言葉をうまいこと変換し、しかも長文でレポート。

それらの言葉は、確かに事実とはちょっと異なってるかもしれない。テストでいう「正解」にならないような、正しくない表現かもしれない。だけどさ、「コスパはまあまあだけど髪が一本落ちててキモかったです」とか、「フロントの対応がわるくて、なんだかがっかり」とか、まめなコメント入れる人いるけど、そういうのいらないよね。確かに他の宿泊客のために親切心で情報を入れているのかもしれないけど、本当に最高のステイがしたい人はリッツ・カールトンなりカハラ・ホテルなどにいくから大丈夫だよ。

レビューはいずれホテルの人たちに届くわけだけど、人をディスったところで、そこで過ごした時間がよくなることはないし、自分の気持ちのあとあじもわるくなる。ディスられた人はやがてお客さんが敵に思えてきて、ディスられないための後ろ向きなサービスをするようになる。逆に、愛のある言葉で褒められていたら、人はより頑張るもので、その結果そのホテルはいいホテルになる。と勝手に思ってるんだ。

「事実」とか「正しさ」を考える、その10倍くらいのエネルギーで、人に「楽しさ」を伝えることを考えていたいなぁと。

ではまた☆

斉藤高広